あこがれのマッターホルンに、ついに登頂してきました!
夏のヨーロッパアルプスに通いはじめて4年目。
1年目にアルプス最高峰のモンブランに登頂し、2年目からマッターホルンにターゲットを絞ってチャレンジを続けてきました。
夏のヨーロッパアルプスに通いはじめて4年目。
1年目にアルプス最高峰のモンブランに登頂し、2年目からマッターホルンにターゲットを絞ってチャレンジを続けてきました。
一昨年、昨年は共に天気と雪のコンディションに恵まれず、登山のトライ自体ができないという不戦敗続きで、この間、スイス最高峰のドム登頂やエギューユミディ・コスミック、針峰群レムなどの岩稜登攀を経てきました。
国内でもここ数年、三ツ峠ほか各地の岩場でクライミング訓練を積むかたわら、谷川岳一の倉沢、八ヶ岳大同心・小同心、北岳バットレス、積雪期の前穂高岳北尾根、あるいは同じく積雪期の剱岳八ツ峰、源次郎尾根といった山々に通って場数を踏み、アルプスの夢を膨らませてきました。
マッターホルン登頂へ3度目の正直を期した今シーズンは、ぼくも71歳。がんの入院治療を控えている病気の身でもあるし、もう、後がない。
これがラストチャンスと、これまでになく気が入っていました。
ところが、ところが、現地入りしてみると、大自然はそんなに甘くない。
今年も山のコンディションは決して良好とは言えず、雪も断続して降る。
で、まずは7月28日、4000m峰のブライトホルンに高度馴化で登頂し、30日にマッターホルン麓のヘルンリ小屋に入り、翌31日、羽衣のような雲をまとうマッターホルンに無理を承知でアタックしたものの、岩稜登攀半ばからの猛吹雪に撃退されてしまいました。
新雪をかぶったマッターホルンは、翌日から登頂不能の状態に。
・・・ということは同じ岩山タイプのアイガーも暫らくは登頂トライが出来る氷雪コンディションではない。
日本を出る時は、うまく行けばアイガーも、とマッターホルンとのダブル登頂を期していたのですが、もう、そんなチャレンジプランどころではなくなりました。
ままよ、と、アルプス第2の高峰として名高いモンテローザ(これはこれでナイフリッジの岩稜が続くダイナミックな堂々たる巨峰でした)に登頂したり、リッフェルホルンという岩山でロッククライミングを楽しんだりするうち、予定した日程は消えてゆくばかり。
8月8日、帰国直前ギリギリの晴天をとらえ、ヘルンリ小屋に入り、翌9日、2回目のマッターホルンアタックを敢行しました。
ここは何が何でも。
と、必死の気力を振り絞り、えんえんと長大なクライミングを続けて、なんとか、マッターホルンの斧の鋭い刃先のようなピークに登りつめました。骨まで凍るような寒さと吹き荒れる烈風の中、両手の指先にひどい凍傷を負ってしまいましたが……。
大学山岳部にいた時、ウインパーの『アルプス登攀記』を熱読して以来、ずっとずっと夢に抱き続けたマッターホルン登頂でした。
長年ランニングにいそしみ、世界のマラソン大会を駆け巡ってきたことについても、いつかはマッターホルンに登るその日のために、と脚力なり心肺機能なりを涵養しておきたかった意識が関与しています。
宿願をようやく達成し、今は野球なら、9回裏の逆転満塁ホームランをかっ飛ばした気分。
もはや思い残すことはなく、ただただ感激!
気難しいマッターホルンは、マンツーマンガイド登山でも登頂可能な日はひと夏でほんの数日しかありません。
登頂率も極めて低い。今夏はピークに立てた日本人はぼくでわずか3人目とか。
ぼくが登頂した後、マッターホルンは大雪で早くも真っ白に冬化粧してしまいました。ぼくが当の山に登らせてもらえたのは、まさに一瞬の夏、だったわけです。
帰国次第、早速報告を、と思いつつ遅れてしまったのは、凍傷治療のため入院していたためです。やっと退院してこのメールも指に包帯して打っている始末ですが、至極ハッピーな達成感に浸っています。
大島幸夫
[写真説明]
ぼくが登頂した8月9日のマッターホルン(ヘルンリ小屋より)

途中は気が遠くなるような長くて険しいクライミングの連続


両側が切れ落ち、タタミ一畳分もあるかどうかという狭さのピークで烈風のなか、
登頂のガッツポーズ!
手に広げているのは、あらゆる障害者ランナーと健常者が<協走>するランニング愛好会
「アキレストラッククラブジャパン」の旗

モンブランに次ぐアルプス第2の高峰モンテローザの英姿

国内でもここ数年、三ツ峠ほか各地の岩場でクライミング訓練を積むかたわら、谷川岳一の倉沢、八ヶ岳大同心・小同心、北岳バットレス、積雪期の前穂高岳北尾根、あるいは同じく積雪期の剱岳八ツ峰、源次郎尾根といった山々に通って場数を踏み、アルプスの夢を膨らませてきました。
マッターホルン登頂へ3度目の正直を期した今シーズンは、ぼくも71歳。がんの入院治療を控えている病気の身でもあるし、もう、後がない。
これがラストチャンスと、これまでになく気が入っていました。
ところが、ところが、現地入りしてみると、大自然はそんなに甘くない。
今年も山のコンディションは決して良好とは言えず、雪も断続して降る。
で、まずは7月28日、4000m峰のブライトホルンに高度馴化で登頂し、30日にマッターホルン麓のヘルンリ小屋に入り、翌31日、羽衣のような雲をまとうマッターホルンに無理を承知でアタックしたものの、岩稜登攀半ばからの猛吹雪に撃退されてしまいました。
新雪をかぶったマッターホルンは、翌日から登頂不能の状態に。
・・・ということは同じ岩山タイプのアイガーも暫らくは登頂トライが出来る氷雪コンディションではない。
日本を出る時は、うまく行けばアイガーも、とマッターホルンとのダブル登頂を期していたのですが、もう、そんなチャレンジプランどころではなくなりました。
ままよ、と、アルプス第2の高峰として名高いモンテローザ(これはこれでナイフリッジの岩稜が続くダイナミックな堂々たる巨峰でした)に登頂したり、リッフェルホルンという岩山でロッククライミングを楽しんだりするうち、予定した日程は消えてゆくばかり。
8月8日、帰国直前ギリギリの晴天をとらえ、ヘルンリ小屋に入り、翌9日、2回目のマッターホルンアタックを敢行しました。
ここは何が何でも。
と、必死の気力を振り絞り、えんえんと長大なクライミングを続けて、なんとか、マッターホルンの斧の鋭い刃先のようなピークに登りつめました。骨まで凍るような寒さと吹き荒れる烈風の中、両手の指先にひどい凍傷を負ってしまいましたが……。
大学山岳部にいた時、ウインパーの『アルプス登攀記』を熱読して以来、ずっとずっと夢に抱き続けたマッターホルン登頂でした。
長年ランニングにいそしみ、世界のマラソン大会を駆け巡ってきたことについても、いつかはマッターホルンに登るその日のために、と脚力なり心肺機能なりを涵養しておきたかった意識が関与しています。
宿願をようやく達成し、今は野球なら、9回裏の逆転満塁ホームランをかっ飛ばした気分。
もはや思い残すことはなく、ただただ感激!
気難しいマッターホルンは、マンツーマンガイド登山でも登頂可能な日はひと夏でほんの数日しかありません。
登頂率も極めて低い。今夏はピークに立てた日本人はぼくでわずか3人目とか。
ぼくが登頂した後、マッターホルンは大雪で早くも真っ白に冬化粧してしまいました。ぼくが当の山に登らせてもらえたのは、まさに一瞬の夏、だったわけです。
帰国次第、早速報告を、と思いつつ遅れてしまったのは、凍傷治療のため入院していたためです。やっと退院してこのメールも指に包帯して打っている始末ですが、至極ハッピーな達成感に浸っています。
大島幸夫
[写真説明]
ぼくが登頂した8月9日のマッターホルン(ヘルンリ小屋より)

途中は気が遠くなるような長くて険しいクライミングの連続


両側が切れ落ち、タタミ一畳分もあるかどうかという狭さのピークで烈風のなか、
登頂のガッツポーズ!
手に広げているのは、あらゆる障害者ランナーと健常者が<協走>するランニング愛好会
「アキレストラッククラブジャパン」の旗

モンブランに次ぐアルプス第2の高峰モンテローザの英姿

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この記事へのコメント
大島さん 快挙おめでとうございます。山頂のアキレスクラブの旗に大島さんの人柄が表れていると思いました。感動しました。私も30年前にモンブランに登り、その後ヘルンり小屋に泊まりマッターホルンに登ろうとしたものの断念した経験があります。山への思いは封印していますが、またいつかという気持ちがどこかにあることを思い出させてくれました。 モンテローザの朝焼けきれいですね。(訂正されると思いますが山の写真が入れ替わっています。)
本当に写真を見たら凄い!
大島さんが、本物の山屋さんであることが分かりました。
大島さんが、本物の山屋さんであることが分かりました。
マッターホルン登頂おめでとうございます。
添付の写真を見せて頂き、その厳しさを感じました。
まさに今までのトレーニングの集大成ですね。
またいろいろお話を聞かせてくださいね!
添付の写真を見せて頂き、その厳しさを感じました。
まさに今までのトレーニングの集大成ですね。
またいろいろお話を聞かせてくださいね!
2008/08/31(日) 22:55:55 | URL | 高田恒彦 #4KbpZUtk[ 編集]
マッターホルン登頂、まことにおめでとうございます。心からお祝い申し上げます。まさに快挙であり、偉業であります。
一歩間違えれば死が待ち構えているような冒険に、大島さんが嬉々として挑戦されたことが,まことにものすごくて圧倒される思いです。なにはともあれ、重ねてお祝い申し上げます。
一歩間違えれば死が待ち構えているような冒険に、大島さんが嬉々として挑戦されたことが,まことにものすごくて圧倒される思いです。なにはともあれ、重ねてお祝い申し上げます。
大島さんと75歳チョモランマ登頂の三浦雄一郎が重なりました。写真にも感動しました。今度は「マッターホルン登頂」をテーマにまた講演を依頼したいです。身近でこのようなチャレンジをされている方がいると思うと、すごく勇気づけられます。すばらしいです。すごくいいことをされていると思います。大島さんすごいです。改めてお祝い申し上げます
凄い。凄い。兎に角凄い。
逆境でもやり遂げる大島さんらしい快挙です。
サロマ湖100キロマラソン5回途中棄権の私としては超尊敬の至りです。
例会で貴重な帰朝報告お願い致します。
逆境でもやり遂げる大島さんらしい快挙です。
サロマ湖100キロマラソン5回途中棄権の私としては超尊敬の至りです。
例会で貴重な帰朝報告お願い致します。
2008/09/08(月) 14:10:19 | URL | 森部好樹 #-[ 編集]
大島さん、マッターホルン登頂おめでとうございます。こんな絶壁、しかも雪だらけのところを登ってしまうなんてすごいです。とても大変だったと思いますが、だからこそ頂上に立った時のご気分は最高だったでしょうね!
2008/09/15(月) 23:09:36 | URL | 鈴木美帆 #mQop/nM.[ 編集]
念願のマッターホルン登頂、おめでとうございます!
その凄い意思、気力には胸を打たれます。
”もはや”、と言わず”まだ”71歳の意気で
癌を克服されることを祈ります。
その凄い意思、気力には胸を打たれます。
”もはや”、と言わず”まだ”71歳の意気で
癌を克服されることを祈ります。
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